サービス付き高齢者向け住宅の特徴・ほか施設との違い
2022.04.27介護の基礎知識
高齢化が進む現在、都内や政令指定都市などの都市部においては建設が進んでいるのが【サービス付き高齢者向け住宅】です。様々な老人ホームと呼ばれる施設の中でも近年人気が高くなってきています。今回はサービス付き高齢者向け住宅について運営管理から特徴、ほか施設との違いなどをご紹介します
運営管理
サービス付き高齢者向け住宅の運営は【民間企業】が行っています。
その為、サービスや部屋、設備などは施設ごとに異なり全国各地にありますが、特に都市部などの人口密集地に多く建設されています。
これは、都市部においては高齢者の単身生活が原因となる孤独死や、現在の生活スタイルである近隣住民との接点の薄さを解消する為として、運営は民間ではありますが国がバックアップしている事業です。
入居者
入居者のタイプは2種類に分かれます。
まず、自立していて生活に介護の必要がない方から要支援者認定されている方は【一般型】と呼ばれます。都市部に多いのはこの一般型のサービス付き高齢者向け住宅です。
次に軽度介護が必要な方から要介護5までの方が入居しているのが【介護型】と呼ばれる施設となります。
介護型は施設により認知症の方の入居も可能なので、介護者家族の負担をグッと減らすことのできる施設です。
どちらの型も入居可能年齢は60歳以上となります。
他の介護付き有料老人ホームなどの施設の入居可能年齢は65歳以上とされている為、比較的早い段階で入居が可能です。
また、要介護認定次第では60歳以下でも入居できる場合がありますので、検討されている方は各施設へ確認しておきましょう。
サービス内容
主に【安否確認】と【生活相談】のサービスを受ける事ができます。
施設によって外出時のサポートや食事の提供も行っていますが、あまり多く行っている施設はないようです。
安否確認はスタッフが定期的に各部屋を巡回し行う場合と、タブレットや機器のIT技術により自動で行う場合の2種類ありますが、一般的には巡回と生活相談を一度に行います。
特に生活相談においては介護福祉士や社会福祉職員、専門のケアマネージャーに対応して頂ける場合が多く、介護状況が変わった際にも潤滑に次のステップへ進む事ができるでしょう。
また、追加のオプションで様々なサービスを受けることも可能です。
食事提供から各リハビリ、医療機関への送迎などがあり、必要な場合に事前申請を行う事でより生活の自由度を高く保つ事ができるでしょう。
施設によっては終身で生活が可能で、最期の看取りを行っている施設もありますが全国的に見ても数は少ない方です。
入居期間や身体状況によって受けるサービスを変化させられる特徴を持っています。
医療体制
一般型の場合、医療機関を利用する場合には自身で医療機関の選択を行います。
医療機関にも得意不得意があり、万が一専門外の医療機関しか提携していない場合には診察が遅れてしまいます。
一般型に入居を検討されている方は、現在の体調と必要な医療機関が近隣にあるのかどうかを確認し、入居後にはその病院へ通院することを念頭において施設選びを行ってください。
介護型の場合、介護サービスが含まれている事があります。
その際には専門の介護士や社会福祉職員、医師が常駐又は巡回しているので、医療機関の選択時にもその方々から病院を紹介していただき、自身にあった病院を選択しておけば緊急時の対応もスムーズに行う事ができるでしょう。
費用
サービス付き高齢者向け住宅は契約形態が2種類あります。
まず、一般型の場合は街中でよく見かける【賃貸物件】同様の【賃貸契約】となり、賃貸契約も2種類に分類され、【建物賃貸借契約】と【終身建物賃貸借契約】に分かれます。
【建物賃貸借契約】は入居者が死亡した場合に、その建物の契約自体は親族に移行しますが、【終身建物賃貸借契約】は入居者が亡くなった時点で契約が打ち切られるというものです。
例えば御夫婦でどちらも65歳、どちらか一方が自立者として介護する側、どちらか一方が介護を必要とする場合に入居したとすると、建物賃貸借契約の場合には介護を必要とする方が亡くなったとしても、もう一方は入居の継続が可能です。
ですが終身建物賃貸借契約を介護者側が結んでいた場合には、亡くなった時点で契約が打ち切られ、残った自立者は新しい契約を結び直すか、新しい転居先を見つけなければなりません。
サービス内容もあくまで物件自体の賃貸契約に安否確認などのサービスが付属する形となる為、軽度のサービスしか受ける事ができません。一般型の方が介護サービスを受ける場合には外部サービスを申し込みして受ける事ができます。
その為、費用は一般的な同間取りより若干高くはなりますが、介護付き有料老人ホームや高齢者向け分譲マンションのように数百万円単位ではありません。
初期費用として【敷金】が発生しますが20万円〜25万円程度となり、月額利用料=家賃も5万円から10数万円程度とされています。
年金で生活されている方でも十分余裕を持って生活する事ができるので、単身高齢者に人気が出ているという事です。
次に介護型の場合は契約形態が他の老人ホームと同じ【利用権契約】となります。これは入居を希望する部屋とその建物内にある特定の設備、サービスなどを利用する権利を購入している形となります。
その為、入居前には【入居一時金】として数百万円から高い場合だと数千万円の費用が発生します。
この入居一時金は【数ヶ月分の利用料前払い、日用品などの購入費用、介護サービス利用料の一部】などが含まれており、支払う事で月額利用料の割引を受ける事ができます。
また、入居後の月額利用料は10万円前後から50万円となる為、介護型を利用する場合には助成金の申請と継続を忘れずに行いましょう。
金銭面での負担が大きく思える入居一時金ですが、返還金制度が導入されており、利用料を支払った期間=償却機関とされており、それを満たす前に退去した場合には支払った入居一時金の内、未償却分が返還される仕組みです。
現在は一括と分割を選ぶ事ができるので、個人の収入に見合った契約を行いましょう。
人員体制
日中は看護師や介護士の常駐や医師の巡回などがあります。
介護士は施設により異なりますが、ほとんどの施設でベテランから新人まで働いています。
また、夜間については常駐する義務はありませんが、万が一の場合に備え、特定の警備会社に巡回依頼している施設や、看護師、介護士、医師を近隣に待機させている施設もあります。
入居期間
基本的には一度入居し、利用料を毎月支払ってさえいれば退去対象者にならない限りは継続入居が可能です。
これは【高齢者すまい法】と呼ばれる法律において、入居者の同意なく契約を解除してはならないと定められている為です。
また、前述した契約内容が【終身建物賃貸借契約】の場合、契約者が死亡した場合に契約が打ち切られるとありますが、【賃借人死亡後の同居者の一時入居】の項目に則り、死亡後1ヶ月間の入居継続は可能とされています。
配偶者の死後、手続きや片付けに追われる為、1ヶ月という期間は次へ進むためにも重要な期間となりそうです。
また、入居後に体調が悪化し、介護度が高くなる=介護時間が長くなる場合には、さらに介護医療に専門性の高い施設を紹介していただく事ができます。
認知症などを理由に退去通告されることはありませんが、施設や他の入居者に対して著しい損害や迷惑行為を行なった場合にはこれに当たりません。
おすすめのサービス付き高齢者向け住宅
フラワーホーム(大阪府泉南市)
こちらは医療、介護に定評のある施設です。施設内に【フラワークリニック】と【フラワーケア】【フラワーナース】という病院、介護、訪問介護の3つを併設している事から、24時間体制での介護をしていただけます。
入居しているのは単身者が多く、旅行なども自由にする事ができるのも人気の理由でしょう。また、入居費用も低価格で、家賃、食費、管理費、共益費込みで10万円前後での入居が可能です。
駅からも近く、ショートステイにも対応しているため、介護者家族にとっても強い味方となってくれるでしょう。
ヴィラ グラスセゾン(兵庫県尼崎市)
まるで高級ホテルのような作りの部屋が魅力的な施設となります。
市内の拠点医療機関各医院と連携をとり、医療体制は関西屈指と言えるでしょう。
24時間対応の【介護コンシェルジュ】として入居者の生活支援に対応しているので、満足度の高い生活を送る事ができます。
費用は月額20万円前後から入居が可能で、全13階の各部屋により費用が変わってきます。
また、食費は別途月7万円で栄養と味、四季折々の旬な食材を活かした料理を提供可能して頂けます。
介護ホームおおきな手 鶴見橋(大阪府西成区)
月額利用料を低価格で抑えたい方におすすめな施設です。
こちらは要支援1から要介護5までの介護型施設となり、認知症者も受け入れています。
入居一時金として20万円、家賃などの月額利用料は7.7万円、食費は別途月4.2万円となる為、約30万円前後で入居ができます。
介護士と介護福祉士が常駐している為、万が一の場合にも迅速に対応して頂けます。
コンパクトな部屋にはベットやテレビなどの家財道具が揃っている為、空きさえあれば入居待機期間も短くなるでしょう。
最後に
他の老人ホームよりも自由度が高く、ゆったりと生活したい方やアクティブな生活を送りたい方など様々なニーズに対応しているのがサービス付き高齢者向け住宅の特徴です。
新しい趣味や仲間を見つけるにも最適な施設と言えるのではないでしょうか。