老人ホーム選び!費用の目安や手続き、入居までの流れなどを紹介
2022.04.24介護の基礎知識
社会全体の高齢化が進み、早い段階で自身の入居したい施設を検討する方も多くいらっしゃいますが、老人ホームと一言でいってもその種類は様々で、費用も施設や自身の要介護度により変化してきます。 今回は介護施設ごとの入居までの流れと入居までの費用、入居後に発生する費用をご紹介します。
入居までに準備すべきこと
高齢になり、老人ホームや介護施設に入居を希望する場合、まず初めの準備として下記の項目を確認しておきます。
- 入居者自身の年齢
- 保証人の有無
- 要支援または要介護の認定可否とその度合
- 医療に対する依存度合
- 収入
この5項目により入居できる施設が絞られてくるので、可能であれば書面などで残しておくべきでしょう。
また、身元保証人は万が一の場合、身元引き受け人となりますので可能な範囲で自身の親族になっていただきましょう。
まず年齢ですが、【65歳以上】が入居原則となります。
ですが、自身の要支援・要介護度合いにより60歳以上や40歳以上、入居年齢制限なしなどの場合がありますので、まずは自身の年齢を確認しましょう。
認知症が進行している場合は自身の年齢もあやふやになってしまう可能性がありますので、
身元保証人などに確認してください。
保証人は原則【必要】となります。
中には保証人のいらない施設もありますが、自信がなくなった場合の葬儀やお墓の観点から見ても近い親族が最も頼りになるでしょう。
身元保証人がたてられない場合、民間業者に委託する事ができます。
これを【心託サービス】といい、身元保証はもちろん、なくなった後の遺産や不動産関連の事務作業も行なっていただけるサービスなので、確認しておきましょう。
要支援・要介護度は入居する施設を決めるにあたって【必須項目】となります。
施設によっては【入居は要介護3以上】や【要支援1〜2まで入居可能】などとさだめられていたり、【自立者のみ入居可能】とされている場合があります。
これは施設自体に医療体制が整っているかどうか、近隣に医療機関が存在するかどうかなど重要な項目になります。
介護認定を受けた時よりも介護度と介護時間が増加している場合があるので入居を検討する際には介護認定の更新を行なってください。
更新手続きは各市町村に【介護認定更書類】に必要な内容を記載します。
その後認定調査が行われた後に介護認定されるという仕組みです。
前回の認定満期期間の約2ヶ月前から更新可能なので、忘れずに行いましょう。
自治体によってはスマホで申請でき、窓口まで行かなくても認定書類を受け取れる場所もありますので、お住まいの地域ホームページで確認してみましょう。
医療に対する依存度合は自身の医療依存度を指します。医療依存度(週に何度か病院に通院しているまたは多い頻度で医療機関を利用している等)が高いと希望施設への入居ができない可能性が出てきます。
これは前述した医療体制の確保が難しい施設もあるためです。
入居前に自身の医療依存度を確認し、入居希望施設が対応できるか、近隣に対応できる医療機関はあるかなど確認しておきましょう。
収入はあくまで【自身の年金、所得などを総合した金額】となります。
特に民間で運営している施設の場合、【月額〇〇万円以上の収入がある】【一定の貯蓄額を有する】などを入居条件としている場合があります。
民間施設の運営は企業が行っており、あくまで【サービス】として介護や支援を行います。
その為、滞納などが発生してしまうと企業自体の赤字に繋がり、最悪の場合施設の閉鎖もありえるので、その対応策として入居者の収入に一定の制限を設けているというわけです。
収入の点に付随してくるのが、【入居一時金】と【月額利用料】です。
老人ホームの場合は民間でも公的でも必ず月額利用料は発生しますが、入居一時金は施設により発生するかどうかが決まります。
入居一時金は数十万円から高い施設だと数百万円という金額になります。
一見高いように感じますが、入居一時金は月額利用料の滞納時や生活に必要な日用品の購入費用、各レクリエーションなどに一部使う事ができます。
収入面に余裕がある方についてはメリットが大きいので、是非活用すべきでしょう。
また、収入面に不安のある方は【一括支払い】か【分割支払い】を選べる場合があります。
もちろん分割払いの方が総支払額は多少高くなりますが、入居者が費用を支払う場合は体調の変化などが発生する可能性が高く、第三者が支払う場合には支払い忘れや多少の残高不足で引き落としされないなどの可能性があります。
月額利用料も月に発生する費用+αは見越しておきましょう。
月額利用料には月々の食費や光熱費など生活に必要な資金+介護サービス利用費なども含まれている場合が多いですが、身の回りの日用品は別途個人負担となります。
高齢化が進み排泄などに不安根ある方にはオムツなどが必要となりますが、もちろんこのような日用品も個人負担です。
収入面を正確に把握し、費用の支払いは円滑に行ってください。
公的施設の場合
国や地方自治体、社会福祉法人などが運営している施設を公的施設といいます。
公的施設の特徴としては
- 全国各地に施設がある
- 医療体制が比較的整っている
- 入居までの準備期間を長く設けることができる
- 要介護度によって費用負担額が変化する
ということが言えます。
まず、施設自体は全国各地にありますのでご希望の都道府県にある施設への入居が可能ですが、入居条件に【施設と近い区内に住所がある】という項目がある場合がありますので注意してください。
医療体制の整備も民間施設より整っているといえるでしょう。公的施設の場合、運営を医療法人や社会福祉法人が行なっている施設もありますので、万が一の場合にも迅速な対応をして頂けます。
入居までには一定の【待機期間】があります。
これは公的施設の場合、施設数が多く、費用面も低価格となることから入居希望者からの人気も高い為に発生するものですが、この間に必要な書類や身辺整理、今後のライフプランなどをご家族と話し合う事ができます。
介護者本人としても入居後の生活に不安が大きい場合もある為、しっかりと準備する事が重要です。またご家族から見ても施設利用の際の不安点や各物資の準備など時間を要することも多くあります。
しっかりと待機期間内に申請、準備をしておきましょう。
費用面も民間施設と比べかなり低価格な入居が可能です。
施設によっては【入居一時金】が発生し、数万円〜数百万円の費用は発生しますが、この入居一時金わ支払うことで月々の費用負担額が軽減できます。
多くの施設では入居一時金や初期費用の発生はないものの、月額の利用料金+日用品は自己負担となってしまう場合もあります
入居一時金はこの日用品や食費などの不足分を賄う事を目的とした費用なので、可能であれば入居一時金を支払う施設の方が入居者自身も安心できるのではないでしょうか。
民間施設の場合
民間施設とは、企業が運営する老人ホームを指します。
公的施設と比較した際、際立つのが【サービス内容】でしょう。
また、下記の特徴を持っているのも民間施設ならではです。
- 待機期間が短い
- 一度入居すれば特別な事情がない限り転居する事がない
- サービス内容は施設ごとに工夫されている
- 月額利用料は公的施設よりも高い
- 自身に合った支援、介護サービスを選ぶ事ができる
まず、待機期間は比較的に短くなります。
これは、公的施設よりも民間施設の数は少ないですが、現代の日本人の多くは【低価格】を主軸に介護施設を選ぶ方が多い為、公的施設よりも民間施設を選択する人が少ない=空きが一定数見込めるということになります。
また、民間施設は一度入居が決まり生活していれば、特別な事がない限り退居や転居しなくても良い場合が多いです。
退居・転居条件としては【介護時間が所定時間以上かかるようになった】【月額利用料の滞納】【入居対象介護度以上になってしまった=症状が進行してしまった】などが挙げられるでしょう。
どこまで進行したらという部分は各施設ごとに決まります。
次にサービス内容は民間施設の方が充実しています。
公的施設の場合、医療体制や緊急対応におけるサービス内容は充実していますが、それ以外の【生活面】では民間施設同等のサービスを行なっていません。
民間施設の多くは図書館や温泉、ジム、テニスコートなどを併設しています。この事からも分かるように、入居者の多くは自立者または要支援度1程度の方が多くなります。
民間施設でも医療体制に特化した施設や特定疾病専門施設もありますが、全国的に見ても数は少ない印象です。
様々なサービス内容を持つ反面、月額の利用料金は公的施設の1.5倍から2倍程度発生します。あくまでも民間=企業のサービス内容の一環として介護や支援を行なっている為、そこに掛かる人件費や光熱費、食費などの施設運営費が主となります。
介護サービスを選択できるのも民間施設の特徴です。
例えば、自身が入居した施設では週に3回程度生活面をサポートする介護士を導入している場合、自立者にとってはそこまで支援の必要がない場合があります。
そのような場合でも公的施設でサービスを受けずとも費用は一律で発生してしまいますので、無駄な費用となってしまいます。
民間施設の場合、支援や介護を外部サービスで利用する事が可能で、足腰が悪く買い物に行きづらい、お風呂に不安がある、金銭管理が難しくなってきている等様々な項目ごとにサービス内容を変更する事ができます。
民間施設の中でもシニア限定の介護付分譲マンションや一戸建てもあり、自立者がいきいきと生活を送れる様に、支援者は自立を目指し、介護者は安心できる医療・介護を受けるためにと、全ての入居者に万全のサポート体制をとっていると言えます。
最後に
入居する際には入居者自身の準備もありますが、その周りのご家族から見ても大きな決断となります。入居後のサポートは看護師や介護士だけでなく、ご家族の中でも行なっていただき、充実した生活を送る事ができる様にしておきましょう。